秋山木工では職人見習いは丁稚と呼びます。
丁稚の一日は早朝ランニングから始まります。
食事の礼儀、挨拶、読み書きそろばんなど、現代ではおおよそ時代遅れとされる取り組みを、秋山木工はあえて重視しています。職人は男女問わず丸坊主ってちょっとと思いますが、当たり前そんな人は入社できません!
徒弟制度の厳しさに驚きます。
5年間は盆と正月以外は帰れず、携帯もパソコンも禁止。男性も女性も頭は丸坊主。上の言うことにはすべて素直に従う。毎朝走ってから仕事。
とにかくストイック。
でも、人材募集には十倍以上の若者が集まるというのだから、好きな人にはたまらん何かがあるのかも。
こうした取り組みによって、丁稚たちの”心技体”をバランスよく鍛えることができ、自らの技に溺れることのない職人へ成長することが期待できるのです。ここにはもちろん秋山利輝社長の考え方が反映しています。
そんな秋山社長の経歴や秋山木工の職人心得30カ条って気になりませんか?
秋山利輝(秋山木工)の経歴
1944年奈良県生まれ。
中学卒業後、丁稚として大阪の注文家具屋に就職し、家具職人の道を歩み始める。その後大手デパートの木工部門等を経て、27歳で独立し秋山木工を創業。宮内庁や迎賓館、国会議事堂、高級ホテル、百貨店、高級ブランド店、美術館、病院等や一般家庭に特注家具を納めています。
また同社では、「世のため人のために一流の職人を育てる」という秋山氏の想いと自身の丁稚経験にもとづき、独自の人材研修制度を設けています。男女問わず丸坊主、携帯電話や恋愛禁止、5時起床等の厳しいルールを含んだ寝食を共にする徒弟制度であり、計5年間に及ぶ修行を経て職人を育てています。
研修生の中からは数多くの技能五輪全国大会でのメダリスト、入賞者を輩出。入社9年目にはあえて退職させ、武者修行のため、新たな仕事先に送り出す。
技術だけでなく人間性を重視することで一流の職人を世に送り出すこの制度は、国内外から注目を集めている。毎年、入社志望者は全国から集まる。
講演では、21世紀型徒弟制度の実践から、変化する時代に生き残る一流人材の育成方法について伝える。
秋山木工の職人心得30カ条
秋山社長のの修行経験から生まれた30カ条の心得です。
○職人心得1
挨拶のできた人から現場に行かせてもらえます。
~気持ちのよい挨拶は、人を笑顔にします。積極的に挨拶をすることで、周りを活気づけることができます。
○職人心得2
連絡・報告・相談のできる人から現場に行かせてもらえます。
~情報を共有することで、周りも自分もスムーズに作業が進みます。また、周りの人に安心していただけます。
○職人心得3
明るい人から現場に行かせてもらえます。
いつも明るくしていると、自然に周りも明るくなります。
また、人が集まりお仕事がいただけます。
○職人心得4
周りをイライラさせない人から現場に行かせてもらえます。
~その場の空気を感じ取り、相手の目線で考え、素直に行動に移すことで,自分の人間性も高まります。
○職人心得5
人の言うことを正確に聞ける人から現場に行かせてもらえます。
~指示された内容を正確に理解し、素直に行動に移すことで、自分の人間性も高まります。
○職人心得6
愛想よくできる人から現場に行かせてもらえます。
~いつも愛想よくしていると、周りの方々に気持ちよくお仕事をしていただけます。
○職人心得7
責任を持てる人から現場に行かせてもらえます。
~責任を持って仕事をすると、緊張感が生まれ、集中して取り組むことができ、そして自分の技術力も上がります。
○職人心得8
返事をきっちりできる人から現場に行かせてもらえます。
~わかっているのかいないのか、はっきりと意志表示をすることで、仕事のミスをなくします。
○職人心得9
思いやりのある人から現場に行かせてもらえます。
~常に相手のことを自分のことのように考え、行動することが大切です。
○職人心得10
おせっかいな人から現場に行かせてもらえます。
~相手のためを思うなら、嫌がられても、言うべきことを言ってあげることも大事です。
○職人心得11
しつこい人から現場に行かせてもらえます。
~限界を決めず、技術も人間性もとことん追求していくことが大切です。
○職人心得12
時間を気にできる人から現場に行かせてもらえます。
~時間は止まってくれません。今できることを考え、一瞬一瞬を無駄にしないことが大切です。
○職人心得13
道具の整備がいつもされているひとかた現場に行かせてもらえます。
~道具の整備をしていることで、すぐに仕事に取りかかることができます。また、道具は一生自分を助けてくれる相棒です。整備することで、感謝の気持ちを表します。
○職人心得14
掃除、片付けの上手な人から現場に行かせてもらえます。
~掃除、片付けは仕事の仕上げであり、次の仕事の段取りにつながるので大切です。
○職人心得15
今の自分の立場が明確な人から現場に行かせてもらえます。
~今の自分の立場をわきまえ、何をすべきかを考えて、素早く行動することが大切です。
○職人心得16
前向きに事を考えられる人から現場に行かせてもらえます。
~これからどうなりたいのか考え、どんなことでも前向きに取り組むことで、必ず成長できます。
○職人心得17
感謝のできる人から現場に行かせてもらえます。
~周りの方に支えていただいていることに感謝し、行動することが大切です。
○職人心得18
身だしなみのできている人から現場に行かせてもらえます。
~身だしなみの乱れは心の乱れです。社会人のマナーとして、また、安全に作業するために大切です。
○職人心得19
お手伝いのできる人から現場に行かせてもらえます。
~周りの人が何を望んでいるのかを考え、行動することが大切です。
○職人心得20
道具を上手に使える人から現場に行かせてもらえます。
~道具を手足のように使えることで、感動していただけるものを作ることができます。
○職人心得21
自己紹介のできる人から現場に行かせてもらえます。
~自己を見つめ直し、自分のよいところを相手にしっていただき、日本人としての夢を語れることが大切です。
○職人心得22
自慢のできる人から現場に行かせてもらえます。
~お客さまのために、どのようなものをどんな工夫をしてつくったのか、説明できることが大切です。
○職人心得23
意見が言える人から現場に行かせてもらえます。
~さまざまな考えを共有し、より良いものを作ろうとすることが大切です。
○職人心得24
お手紙をこまめに出せる人から現場に行かせてもらえます。
~感謝の心を自分の字で表すことで、より一層想いが伝わります。
○職人心得25
トイレ掃除ができる人から現場に行かせてもらえます。
~一番汚れる場所を磨くことで、自分の心も磨かれます。
○職人心得26
電話を上手にかけられる人から現場に行かせてもらえます。
~相手の顔が見えない分、簡潔にわかりやすく伝えることが大切です。
○職人心得27
食べるのが早い人から現場に行かせてもらえます。
~食べることにも段取りが必要です。農家の方や、食事を作ってくださった方に感謝をし、無駄なくおいしくいただくクセをつけることが、仕事にもつながります。
○職人心得28
お金を大事に使える人から現場に行かせてもらえます。
~お金の生まれる過程を正確に理解し、感謝して使うことが大切です。
○職人心得29
そろばんのできろ人から現場に行かせてもらえます。
~計算を速くすることで、時間と材料を効率的に使うことができ、お客さまに喜んでいただけるものが作れます。
○職人心得30
レポートがわかりやすい人から現場にいかせてもらえます。
~その日学んだことをわかりやすく書こうとすることで、もう一度身につき、日々を2倍速で学ぶことができます。