稲盛和夫さん
今中国で人気の日本人経営者なのです。
日本航空では会社更生法の適用から2年で営業利益2000億円というV字回復をやってのけた
話題の経営者です。
稲盛哲学が注目されている理由を、日本総合研究所の寺島実郎理事長はこう見ています。
「いまの中国は日本の1980年前後だと思います。中国は成長 によって経済のパイを拡大し、分配も進んできましたが、ここへきてバブリーな中国経済を引き締めざるを得ないところに来ています。
あえて経済成長率を落とし ている。その結果、これまで成長スピードで隠してきたひずみやゆがみといった問題が表面化しています。経営者にとって、マネジメントして束ねる力がどんど ん混乱し始めているんです。
社会主義をめざしていた頃は、あらゆる問題や矛盾は階級矛盾をこえた新しい国を作るために頑張らないといけないというメッセージで束ねていま した。このメッセージが緩み、改革開放のもとに資本主義で中国全体を引っ張ってきた。
しかし、中国経済全体に変調が起こり、経営者は今までの方法では神通 力がきかなくなった。そこに稲盛氏が発信しているような経営スタンスが心に響くのでしょう。
稲盛氏の経営哲学はイノベーション・リーダーとしての実績、成 果があって、彼が語る経営論が心をうつものになっているのだと思います」
「稲盛氏人気の背景には、中国経済の変調があります。かつて、中国の指導者・鄧小平氏は白い猫であれ、黒い猫であれ、ねずみを取るのがよい猫だとして、経 済的発展につながるなら手段は選ばないという考え方を打ち出しました。
しかし、成功の方程式だった儲けるには手段を選ばずというというやり方は限界を迎 え、儒学にも通じる稲盛流の経営哲学に経営のヒントを見つけ出そうと、懸命の模索を始めている中国の企業家が増えています」
中国経済も曲がり角に差し掛かっているという感覚、この感覚が経営者を稲盛イズムに向かわせているのかもしれません。
ある部品メーカーの経営者は稲盛経営の手法を参考に従業員の待遇改善を行った。いかにして金を稼ぐかという西洋式の経営哲学に基づいて売り上げを倍 増させてきたが、リーマンショック後、売り上げが5分の1に減少してしまった。成長の限界に直面した時に手にしたのが稲盛氏の著書だった。
経営者は「他を利するところにビジネスの原点がある」という言葉に触れ、従業員の職場環境の改善に乗り出す。社員食堂を食べ放題にしたり、妊 婦のための特別メニューまで用意した。従業員にも変化が現れ始めた。「仕事が楽しくなった。まるで家族と仕事をしているみたいだ」と話す。
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JALを再建した伝説の経営者
日本航空(JAL)が好調だ。2016年4~9月中間期は純損益ベースで最高益を記録。2016年3月期の通期予想も、期初に1720億円としていた営業 利益を2040億円に上方修正しました。過去最高だった2012年3月期の2049億円に迫り、営業利益率も15.1%と高水準を見込んでいます。
JALに着任し先ず役員の意識改革
「何も知らない稲盛が会長を務めたって必ず2次破綻するだろう」「晩節を汚すのは目に見えている」とか、いろいろなことを言われました。着任してみます と、やはり日本航空の中に“真のリーダーがいない”ということがはっきりわかりました。
すべてが悪い意味での官僚組織になっていたのです。現場で叩き上げ て必死に生きてきた人ではなく、一流大学を出てエリートコースを歩いてきた人が全体を支配していたんですね。
すぐ「これは大変だ」とわかったので、まずは 幹部社員の意識改革に着手をしたんです。昨年の6月に17回、夜仕事が終わってから幹部50~60人を会議室に集めて、「人間としてどうあるべきか、集団 のリーダーとしてどうあるべきか」という議論を繰り返しました。
社員の意識改革を研修を通じて徹底した
要は哲学の問題です。企業哲学、稲盛和夫はJALの再建を任された時真っ先に行ったこと。ココには時間と費用人材を徹底的に投入しました。
JALの研修施設では、同社社員の行動哲学をまとめた「JALフィロソフィ」を学ぶ研修が行われていた。驚くべきはその頻度。グループ全社員3万 2000人と、外部委託している地方空港の職員などの全員が、1回2時間の研修を年4回受けることが義務づけられています。
テーマは毎回変わり、「人間として何が正しいかで判断する」「常に明るく前向きに」「公明正大に利益を追求する」「最高のバトンタッチ」などフィロソ フィの項目の1つを2時間かけて深耕する。現場での取り組み、稲盛和夫名誉顧問の講演、植木義晴社長のコメントといった映像のほか、2人1組のディスカッ ション、教材の黙読、演習シートへの記入など内容も盛りだくさんだ。
ファシリテーター1人に対し参加者40~50人と小規模ということもあり、うたた寝や 内職、中抜けなど到底できる雰囲気ではありません。
研修を徹底する姿勢は、フィロソフィ教育だけで見られるものではない。例えば、人事部が2015年秋から開催している働き方変革のための研修「スキルアップワークショップ」。研修内容がより参加者に浸透するよう工夫されている。
研修会場となるJAL本社のホールは6つに区切られ、それぞれ「初めてのペーパーレス」「プライベートを充実させる」「業務の見える化と業務改善の進め 方」など異なる6つのテーマの研修を進行。参加者はこの6つのうち3つを選び、席替えをしながら15分ずつ話を聞く(写真4)。
「参加者が自ら興味のあるテーマを選ぶことで、前向きに聞く姿勢ができる」。ワークショップを企画した人財本部 人事部の三浦健ワークスタイル変革推進室長は狙いを明かします。
フィロソフィ教育と同様、6つのテーマで講義するのは現場の社員たち。 全社に先駆けて働き方 変革に取り組んでいるモデル部署の社員が実体験を基に話すため説得力がある。
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