新型コロナウイルス 「いま あなたの不安は何ですか?」
2020年3月16日(月) 19時30分~20時42分
NHK総合テレビに出演
坂本史衣さんは聖路加国際病院感染管理室勤務しています。
坂本史衣(聖路加国際病院感染管理室マネージャー)さんは
PCR検査の特徴についてこのように述べています。
PCR検査では、感染しているのに陰性となる「偽陰性」や感染していないのに陽性と判定される「偽陽性」が出ることが避けられません。
本当に感染している人のうち正しく陽性と判定できた人の割合を検査の「感度」、感染していない人のうち正しく陰性と判定できた人の割合を検査の「特異度」といいます。
新型コロナウイルスについて、正確な感度、特異度は分かっていませんが、専門家の意見としては高くても感度は7割ぐらいではないかと言われています。
そうすると、100人の感染者のうち約70人しか検査では陽性にならないということになります。
感染して間もない時期や症状が軽微な時には、感度はもっと下がるとみられます。本当は感染しているのに、検査結果が陰性だったので「良かったね。おばあちゃんに会いに行こう」と感染を広げる可能性が出てきます。
もう一つ「陽性的中率」という概念があります。陽性と判定された人のうち本当に感染している人の割合です。この値は、ちまたにどれくらい感染者がいるかという有病率によって大きく変わります。
現在は、新型コロナウイルスが日本中に蔓延(まんえん)している状況ではないので、陽性的中率も下がります。本当は感染していないのに、検査では陽性だとなったために隔離される人が出ることになります。
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新型コロナウイルスが流行し始めてから、「PCR検査」という言葉をよく耳にするようになりました。どんな検査か教えていただけますか?
患者さんから採取した検体(鼻やのどを綿棒で拭った液)のなかに新型コロナウイルスの遺伝子があることを、遺伝子を増幅させることで確認する検査です。
どこで検査しているのですか?
厚生労働省によれば「これまで、国立感染症研究所や検疫所だけでなく、地方衛生研究所、民間検査会社や大学などの協力を得ながら、令和2年2月18日時点で1日3,000件を上回る検査体制を維持・獲得してきました」となっています。
大学病院など設備が整っているところは病院で検査が可能ですが、全ての病院で検査ができるようになっているわけではありません。民間の検査会社も厚労省からの依頼で検査を受けつけているので、病院から直接依頼はできません。
現在病院でPCR検査を行うことはできないので、医師が検査が必要と判断したら、保健所に書面と電話で依頼し、必要と認められれば保健所が病院に検体を取りに来て、検査センターまで運び、そこから検査が始まることになります。
現在活用されている「リアルタイム RT-PCR」という方法では、検査自体は5~6時間かかります。
検査自体の所要時間は約5時間ですが、検体の受け取りから結果の報告までにそれ以上の時間がかかるため、当日中に結果が出ることは稀です。
坂本史衣(聖路加国際病院感染管理室マネージャー)の経歴
坂本史衣
1991年聖路加看護大卒。
97年米国コロンビア大公衆衛生大学院修了。同年に帰国し,聖路加国際病院看護部勤務。
2001年日看協看護研修学校に出向して認定看護師教育課程感染管理学科専任教員を務め,02年より現職。
感染制御および疫学資格認定機構(CBIC)による認定資格(CIC)取得。著書には『基礎から学ぶ医療関連感染対策(改訂第2版)』(南江堂)など多数。
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