岩崎航はどんな詩を書く?筋ジストロフィーを抱えた仕事の仕方とは?

詩人『岩崎航(いわさきわたる)』さんについて

ETV特集「生き抜くという旗印~詩人・岩崎航の日々~」

2016年4月30日(土)  23時00分~24時00分

 岩崎航さんを知っていますか?

3歳で進行性筋ジストロフィーを発症された人工呼吸器と胃ろうからの経管栄養で生活すべてに介助を受けながら生きておられます。

これまでには将来を悲観して自ら命を絶とうとしたり、もう夢も希望もないと家族にもらすこともあったようです。

その中で詩を書くことが種になったようです。岩崎航さんにとって詩は必然だったのです。

岩崎航(いわさきわたる)さん略歴

詩人・岩崎 航(わたる)さん(本名 稔(みのる)さん)。

仙台市在住の39歳。3歳の頃に、全身の筋力が衰えていく進行性筋ジストロフィーという病を発症しました。

24時間、人工呼吸器をつけ、生活のすべてに介助を必要とする日々を送っています。

4歳の時に、確かジャムの瓶を落としたんです。母と買い物に行ってる時に。地面にバリーンと割れてしまって、それで大泣きしたことがあったんですけど。
6歳の時には、父からもらった綺麗なミニカーがあったんですけど、遊んでるうちにぶっ壊してしまいまして、どっかに隠したんですよね。確か壁の間の隙間みたいなところに。
それで証拠隠滅したという。
たぶん今でも同じところにあると思いますね。
でもあれから30年も経ってるんですけど・・・。

少年時代。3人兄弟の末っ子として生まれた。
幼稚園。わんぱく盛りの子どもだった。
小学校。友達と遊ぶのが大好きだった。
少しずつ歩きづらくなっていった。
中学3年生。立ち上がれなくなった。
高校は通信制へ。
家から一歩も出ない生活が始まると、次第に人と関わる事が怖いと感じるようになっていきました。

20代後半で胃ろうをはじめ、17年くらい前から人工呼吸器をつけています。

筋力がなくなって、自発呼吸が難しくなってきたからです。

絶望の状況から17歳で死をかんがえたことも。

20代半ばでベッドの上から、5行でつづる自由律詩「五行歌(ごぎょうか)」をつづり、ブログなどで発表して注目を集めます。

2年前に初めての詩集『点滴ポール』を出版ました。

7つ上の兄、健一さん。
同じ筋ジストロフィーを患い、入院生活を送っています。健一さんは絵を描いています。

 

岩崎航さんの詩「五行歌」

文字通り五行でできた詩(自由律詩)です。

岩崎航さんは五行歌と呼んでいます。

詩はパソコンで書くようです。

苦を受けること

苦をひらくこと

その異なりに

ぼくは

希望の紙一重を感じている

 

言わないから

必要ないのではないよ

必要があるけれど

言えないんだよ

追いつめられているんだよ

 

そうだね

あなたが

花なんだから

くよくよ

いらないね

このような詩を書かれています。

文字通り五行歌

 

岩崎航の作品

岩崎航初詩集

岩崎航エッセイ集
日付けの大きいカレンダー

 

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筋ジストロフィーとはどんな病気

筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称です。筋ジストロフィーの中には多数の疾患が含まれますが、

いずれも筋肉の機能 に不可欠なタンパク質の設計図となる遺伝子に変異が生じたためにおきる病気です。遺伝子に変異が生じると、

タンパク質の機能が障害されるため、細胞の正常 な機能を維持できなくなり、筋肉の変性壊死が生じます。その結果筋萎縮や脂肪・線維化が生じ、筋力が低下し運動機能など各機能障害をもたらします。

患者数は10万人あたり17人から20人と言われています。

 

番組の内容について

仙台在住の詩人・岩崎航さん。“生き抜くこと”をテーマに五行の詩をつづる。全身の筋力が衰えていく難病・筋ジストロフィーを患い、生活の全てに介助を必 要とします。

かつて病を受けいれられず死を考えたが、ありのままの自分の葛藤を詩で表現し、人とつながることが生きる喜びとなっていきました。

しかし東日本大 震災を経て、詩を書く意味を見失ってしまう…。生きるとは何か。静かな創作の日々を見つめ、心の世界を描きます。

 

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