アーサー・T(マーケット・バスケット社長)は従業員と消費者に救われる!

奇跡体験!アンビリバボー

2017年11月9日(木)  19時57分~20時54分 フジテレビ系列で放送


アメリカ地域スーパーのマーケット・バスケット(Market Basket)で騒ぎがおきた。

マサチューセッツ州ローウェルからスタートして州東北部から隣のニューハンプシャー州などで根強い人気を誇っているローカルチェーンがマーケット・バスケット(Market Basket)である。

独自のオリジナルブランドも定評があって、ベーカリーもなかなか美味しく人気があるスーパーです。

従業員も感じがよくて親切だし、長年働いている人が多いのも特徴だ。

そのマーケット・バスケットが今大変なことになっている。店に行っても棚の多くが空っぽで、従業員の多くは店の前に大きなサインを出して抗議行動を行っている。

この会社は労働組合がなかったのです。が、それでも彼らは役員会を恐れなかったのです。彼らはアーサー・Tの復職を要求し、それがなければ働かない、と役員会に通達した。労働階級の彼らが、マサチューセッツ州で最も裕福な人間の一人であるアーサー・Tのために立ち上がったのだ。これがこの事件の最もユニークなところなのである。解雇された経営者のために従業員たちが抗議行動を起こすなど、今のアメリカでは前代未聞のことなのですが。

各地のマーケット・バスケットでは流通をストップさせ、いつもぎっしり並んでいる新鮮な肉や野菜の棚が次々と空っぽになった。従業員たちは、客に「申しわけありません。どうか、私たちの抗議活動が実を結ぶまで、マーケット・バスケットをボイコットしてください」と頼んだ。

いったい何が起きているのか?従業員のストライキなどは決して珍しくないアメリカだが、ここの従業員たちの抗議行動は普通ではなかなかお目にかかれない理由なのである。だからこそ、アメリカの注目を少しずつ浴び始めているのだ。

それを説明するためには、1916年までさかのぼる必要がある。


マーケット・バスケットの創立者はアサナシオス(通称アーサー)・デムーラス。ギリシャからの移民である。彼はボストンから北に行ったところにあるローウェルという町で小さな食料品店をオープンした。そして、その食料品店は二人の息子、テレマカス(愛称マイク)とジョージに受け継がれました。

 

マイクとジョージ兄弟がスーパーを大きくした

1950年代から1960年代にかけて、デムーラス兄弟はこの食料品店を10以上の支店を持つスーパーマーケットチェーンに発展させたのです。そして1971年、ギリシャでバケーション中だったジョージが心臓発作を起こして亡くなった時から、マーケットバスケットのその後の何十年にもわたるトラブルが始待ったのです。

マイクがジョージの遺族を騙し会社乗っ取りをはかる

兄弟はお互いの身に何かあったときは、相手の家族の面倒を見ると約束していた。マイクも最初はその約束を守っているかのように見えた。しかし、次第に彼はジョージの遺族を騙すようにして書類にサインをさせ、会社の経営を独り占めしようとたくらんだのである。

ドラマなどでよくある展開です。

 

信頼が裏目にでた



ジョージの妻と子供たちは伯父であるマイクを信頼していました。しかし、気づいたときにはジョージの妻は会社の役員会のメンバーから外され、マイクはたくみに会社の資産を自分だけが経営権を持つ子会社の方に移し、ジョージの遺族がタッチできないようにしてしまった。そして、デムーラスの会社は大きな成功を収めていたにも関わらず、ジョージの遺族はほんのわずかな収入しか得られないようになってしまったのだ。

 

裁判が始まる



そして1990年、ジョージの遺族は自分たちが知らないうちに、自分たちが所有するデムーラスの会社の株が売られていたことを税金の通知によって初めて知った。そして字彼らはマイクを訴えて出る。こうして長く続く裁判が始まった。

 

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血みどろの争い



この親族同士の争いはかなり激しいものだったよう。従兄弟同士が法廷の建物の裏で殴りあいの喧嘩になることもあり、1990年代を通して合計6件の裁判が行われ、陪審員が味方をする代わりに巨額の金を要求したこともあったようです。

身分を偽って法廷の職員との会話をこっそり録音し、判事が自分側に不利になる判決を既に決めていることを言わせて裁判を無効にしようとする試みもあり、FBIが乗り出す騒ぎにもなった。この裁判に関わるゴタゴタで、二人の弁護士が弁護士資格を剥奪されたのである。

そして最終的には、マイクがジョージの遺族を騙して五億ドルに相当する損害を与えたという判決が下り、会社の株の51%をジョージの遺族が所有することになった。

これで一件落着したかというと、そうでもないのです。

 

争いはなおも続く



マイクの息子、アーサー・T・デムーラスはこの裁判にも関わっていて、当然ジョージの遺族には激しく恨まれていたが、2008年に役員会の投票により、CEOとなります。
経営者としての資質が優れていたのです。

 

アーサー・Tは経営者の資質に優れていた

経営者としてのアーサー・T(従業員には親しみを込めてアーティー・Tと呼ばれている)は、従業員を非常に大事にしていて人望が厚かったのです。

他のスーパーマーケットに比べて給料の額も高く、健康保険の条件も良く、従業員に対して偉そうな態度を取ることもなく、彼らの冠婚葬祭にもまめに顔を出し、家族のように慕われていたいい社長でした。

 

リーマンショックにも耐えた

2008年に米国が不景気になった時も、アーサー・Tは会社の利益を従業員の利益分配(これもスーパーでは珍しい待遇である)の損失の補填につぎ込のみました。

これがさらにジョージの遺族を怒らせることとなった。ジョージの遺族は利益分配を強く望んでいたからだ。皮肉にも騙した方の息子に商売の才覚があり、従業員の人望が強かったのです。

2013年の夏、アーサー・Tの従兄弟でジョージの息子であるアーサー・S・デムーラスは役員会の多数派を味方につけ、アーサー・Tをクビにしようと試みたのです。

ジョージの遺族は会社の経営にはほとんど携わっていないにも関わらず、会社の利益はできるだけ自分たちの手に入れようとしており、世論とマーケット・バスケットで長年働いてきた従業員たち(幹部たちも含めて)は猛烈に反対し、役員会に押しかけて抗議したのです。
アーサー・Tに従業員側が味方するのは当たり前のことですよね。

その効果もあってか、その時の役員会はアーサー・Tをクビにすることはできなかったのです。

2014年の6月、ついにアーサー・Tは解雇されたのです。そして彼の後釜として雇われた二人のCEOは、外部からやってきた人物でした。

二人ともよそでの実績はかんばしくない(一人はCEOをつとめた有名会社を売却するほどひどい状況に追い込んだ)。同時にアーサー・Tに忠実だった長年の幹部も数名解雇されたのです。

そして従業員たちの反乱が始まった。



彼らは本社の前でデモを何度も行っている。役員会はマネージャーレベルの従業員を解雇することで脅しをかけようとしたが、それはかえって従業員たちの闘志をさらにかきたてる結果となり、また世論も完全に従業員とアーサー・Tの味方となり、客も「アーサー・Tが戻るまでマーケット・バスケットをボイコットする」という状況になった。

解決は

「マーケット・バスケット」ボイコットは2ヶ月も続き州知事や政治家まで巻き込む事態に発展。
「マーケット・バスケット」関連業者が非常に困ってしまい、知事に相談、マサチューセッツ州知事やニューハンプシャー州知事が解決に動きやっと沈静化。

結局アーサーSと親族の「マーケット・バスケット」株式55%をアーサーTが引取りアーサーSはマーケット経営から手を引きました。

社長には晴れてアーサーTが就任しました。

 

会社は誰のためにあるのか?を問い直した「マーケット・バスケット」の物語。

 

 

 

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