福岡発の老舗菓子メーカーとして長年親しまれてきた「さかえ屋」。かつて90億円規模まで売上を成長させた地元有数の菓子店でしたが、債務超過に陥り、経営陣の交代・自己破産といった苦い局面を迎えました。
その後、会社の“顔”だった一族が立ち直りをはかるべくスタートさせたのが、カカオ豆からチョコレートをつくる「カカオ研究所」でした。
本記事では、さかえ屋がなぜ経営危機に陥ったのか、カカオ研究所がどのように再起を掲げたのか、そして洋菓子業界全体の潮流とあわせて最新動向を詳しく解説します。
背景には原材料高騰や市場環境の変化がありますが、「逆境から抜け出す挑戦」として広く学びが得られる内容となっています。
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さかえ屋とは?戦後から続く老舗菓子ブランド
「さかえ屋」は福岡県飯塚市を拠点に、和洋菓子やパンの製造販売を手掛ける老舗企業。
1949年の創業以来、地域の名物土産や日常菓子として親しまれてきた歴史があります。1990年代〜2000年代初頭には、菓子業界で確固たる存在感を築き、売上高は90億円規模にまで拡大しました。
会社概要(2024年度)
社名:株式会社さかえ屋
所在地:福岡県飯塚市
設立:1983年
事業内容:和洋菓子・パンの製造販売/一般貨物輸送など
売上高:約104億円(2024年度実績)
従業員:約649名
長年の歴史と地域への貢献から、同社の商品は幅広い年代に愛されてきました。しかしその裏では、経営を取り巻く環境が大きく変化しつつありました。
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老舗が直面した苦境|原材料高と市場環境の変化
近年、原材料価格の高騰は洋菓子店にとって大きな負担となっています。たとえば、ケーキやチョコレートに使われるカカオ豆やバター、小麦粉などの価格は世界的に上昇傾向にあり、
これを販売価格に転嫁できない中小菓子店の倒産が増加しているという統計があります。帝国データバンクの調査では、2024年度に倒産した洋菓子店は前年度比で大幅に増え、過去最多のペースとなりました。
業界全体でみても、原材料高と消費者の買い控え、コンビニスイーツとの競争などが重なり、多くの個人・中小菓子店が経営の岐路に立たされています。
こうした環境の変化の中で、伝統を持つさかえ屋もまた、刷新を迫られることとなりました。
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経営悪化とさかえ屋の転機
さかえ屋は一時は好調だったものの、借金が膨らみ債務超過となった結果、経営トップの交代や自己破産といった苦渋の決断に至りました。この決断は、社員や地域を守るための苦しい判断でもありました。
その後、経営陣の一部は新たな挑戦として、「カカオ研究所」というビーン・トゥー・バー形式のチョコレート専門ブランドに取り組むことになります。これは単なる転身ではなく、スイーツビジネス全体を見直し、原材料から製品まで一貫して手掛けるという構想でした。
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カカオ研究所の挑戦|豆から板チョコへ
カカオ研究所は、チョコレート原料となる**カカオ豆の栽培・加工・商品化までを一貫して行う「ビーン・トゥー・バー」**を採用しています。このアプローチは単なるチョコレート製造ではなく、原料との真正な向き合いを意味します。
カカオ研究所の特徴
原料調達の独自性:ベトナム産カカオの独自調達(現地農園との共同研究)
品種ごとの味わい追求:花のような香りや酸味の特徴を生かしたチョコレート開発
製造工程の透明性:カカオ豆→焙煎→板チョコまでを自社管理
創業家を中心とした小規模ながら熱意ある運営は、地元客だけでなくチョコレート愛好家の注目も集めています。
一方で、ビーン・トゥー・バーは設備投資や原料調達の負担が重く、まだ黒字転換には至っていません。
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なぜカカオに賭けたのか?再起の視点
カカオ研究所の挑戦は、単なるブランド転換ではありません。カカオを原料から見直すことは、今後の菓子業界全体の持続可能性にもつながると見られています。
世界では原料の確保問題や児童労働、森林破壊といった課題もあり、カカオ自体の価値が再評価されつつあります。こうした背景に対し、原料の質にこだわる動きは国内外で広がっています。
大手企業でもカカオの価値創造を掲げるプロジェクトが動き出しており、カカオ豆の社会課題解決や新素材開発への取り組みまで視野が広がっています。
このような業界全体の潮流の中で、さかえ屋発のカカオ研究所も“原点回帰”という視点で注目されています。
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洋菓子業界全体の今と未来
原材料価格の高騰は引き続き業界の大きな課題です。特に小麦粉・バター・カカオといった主要農産物の値上げは、製造コストを押し上げています。
消費者行動の変化により、手頃な価格帯のコンビニスイーツやOEM商品が伸びていることも、個人・中小店の苦戦要因です。
一方で、高付加価値商品へのニーズも根強く、ビーントゥバーやクラフト菓子といった“体験価値重視”の市場は成長しています。
こうした分断する市場環境の中、さかえ屋のカカオ研究所は、原料調達からこだわるブランドとしての立ち位置を強化しつつ、地域密着と付加価値創出の両方を追求しています。
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まとめ|逆境を価値に変える挑戦
さかえ屋の歴史は、戦後から続く老舗企業としての歩みと、時代の変化に適応するための挑戦の歴史でもあります。原材料高騰という厳しい外部環境の中、
ビーン・トゥー・バーという領域へ挑戦することは簡単なことではありませんが、菓子の未来を見据えた“価値転換”として重要な意味を持っています。
さかえ屋のカカオ研究所は、伝統と革新をつなぐランドマークとなる可能性を秘めています。
これから変化する菓子業界の潮流の中で、どのような新しい価値を生み出していくのか、引き続き注目していきたいところです。
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