【追記2020.4.10】ひるおび出演
緊急事態宣言が出たあとも、自粛が鈍いことを懸念。
大下容子ワイドスクランブルに2月14日に出演。
医療法人社団鉄医会ナビタスクリニック新宿 院長
2019年の北海道大学医学部偏差値は69.8です。難関校ですね。
北海道大学卒業。国際医療センターにて研修後、虎の門病院、国立がんセンター中央病院にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院にて血液疾患の治療に従事した後、2012年9月よりナビタスクリニック東中野院長、2016年4月より現職。専門は内科、血液内科。生活動線上にある駅ナカクリニックでは貧血内科や女性内科などで女性の健康をサポート中。
ナビタスクリニック新宿のアクセス
平日は夜9時まで受付
平日の内科は夜9時まで診療受付をおこなっております。
皮膚科は火・木は夜診療を行っておりますが、18時半以降は予約の方のみとし、19時までの診療となっております。
当院では血液検査や超音波での緊急検査にも対応しています。
インターネット予約(24時間)
インターネットから、パソコン、携帯電話で24時間予約をおとりいただけます。いつでも、どこからでもアクセスできるので、とても便利です。
診察科
内科・小児科・皮膚科・女性内科・貧血外来・トラベルクリニック
診察時間
平日:朝10時 から 午後1時まで/午後3時 から 夜9時まで(午後1時 から 午後3時まで昼休み)
土:朝10時 から 午後2時まで
日祝:朝10時 から 午後17時まで(最終受付 16時)
休診日
年末年始
電話番号
03-5361-8383
FAX番号
03-5361-8384
info-shinjuku@navitasclinic.jp
濱木珠恵医師の専門分野は血液内科
2015年8月19日 「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載
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【30代後半の女性】
中肉中背、好き嫌いなくしっかり食べるタイプ、花粉症以外は目立った持病はありません。月経痛が強かったものの鎮痛剤を飲めば仕事をすることはできており、月3回程度の夜勤もこなせる体力はありました。健康診断で異常を指摘されたことはなく、貧血の既往もありませんでした。
ある年の秋に職場を異動した頃から、毎日が疲れやすいと感じるようになってきました。疲れているのに、夜中に目が覚めたり、早朝に一度目が覚めたりと、眠りが浅くなったと感じるようになりました。
最初は、21時までの勤務で生活リズムがずれたせいや、緊張感による疲れもあるのだろうと考えて様子をみていましたが、そのうち、平日の朝は出勤のギリギリまで寝たり昼の休憩時間も仮眠を取ったりしているにもかかわらず、だるさと身体の重さが抜けなくなってきてしまいました。
土日も疲れが残っているため、少なくとも週末の1日は家で休んでいるようになり、それまで通っていたジムも、自然と足が遠のいてきました。
同僚からは「顔色が悪い」と言われるようになりました。自分ではそこまで不健康とは感じていなかったので「寝不足のせいかな」とか「メイクが適当で」と答えていましたが、実際のところ、慢性的に疲れていました。
そのせいか、集中力が続かないと感じていました。睡眠は浅くなっていましたが、うつ状態などの精神的な異変は出ておらず、いろいろやりたいという気持ちはあっても、疲れていて行動にうつせなくなりました。
ふだんどおりの日常業務はこなせるのですが、新しいことを始めたり思考の転換をはかったりという余力がなくなってきました。
異動から4,5ヶ月経つ頃には、通勤の移動でも疲れを感じ、地下鉄の階段をあがるのが億劫になってエスカレーターばかり使うようになっていることを自覚しはじめました。
手足のむくみ感もあり、長い距離を歩くのが少し億劫になっていました。しばらく運動もしなくなっていたので、年齢的に筋力や体力が落ちるというのはこういうことなのかと思って、食事に気を付けたり、整体にいったりしていました。
この頃、月経痛がさらにひどくなり出血が多くなってきており、婦人科を受診しましたが、エコー検査では出血原因になりそうな筋腫はないので年齢的な変化かもしれないと言われました。その説明に「それは違う気がする」と半信半疑ながらも様子をみていたところ、さらに尋常でない月経出血があり、それを知った同僚から促されて3ヶ月後に婦人科を再受診し、やはり子宮筋腫による月経過多であることが確認されました。
ここで、はじめて、ずっと続いていた疲労感が貧血だったのではないかと思い当たり、採血をしたところ、血色素8.5 g/dL(通常は13 g/dL 前後)とかなり進行した鉄欠乏性貧血であるという診断がつきました。
ここまで約1年の経過があったのですが、たちくらみやめまいといった症状は全くありません。しいて言えば「本調子ではない」「なんとなく疲れている」といった『いかにも病気っぽい状態ではないが、不健康と感じる状態』とでした。
実はこれ、私自身の話です。前年の健康診断でも貧血は指摘されておらず、また10代の頃から月経痛や出血が多くても貧血になったことがなかったので、自分が鉄欠乏性貧血になるとは思ってもみませんでした。
後からふり返れば、やたらと氷を食べていたり、爪が割れやすくなっていたりと、鉄欠乏を疑う特徴はいくつもあったのですが、自分を過信していたのかもしれません。お恥ずかしい話ですが、私が勤務医時代に専門にしていたのは血液内科といって、白血病などの血液の病気を治療する分野であって、貧血と言えばまさに本職であったくせに、自分の貧血についてはみじんも疑っておらず、採血検査をしてみようとはまったく考えませんでした。
仕事が忙しかったので、体調を崩している自分自身のことを後回しにしていたことも否定できません。紺屋の白袴とはこのことですね。教科書的に書かれている症状と、実際に自分に起きている症状とは、たしかに同じではあったのですが、自分の認識としては必ずしも一致しない、というのは大変勉強になりました。
ちなみに、鉄剤を飲み始めてしばらくすると、睡眠の質が圧倒的に改善し、ぐっすり寝られるようになりました。集中力も戻ってきて、気持ち的にも余裕をもてるようになりました。正直に言えば「自分は頑張れなくなった。
気合いが足らないのかな」とかなり凹んでいたのですが(医者は体育会系だと思います)、それだけではなかったみたいです。仕事の疲れは今でも普通に感じますが、えたいの知れない疲労感は消えました。
歩いたり階段を上がったりということも以前どおりにできています。もちろん運動不足や年齢変化による筋力や心肺機能の低下は今でも少し感じますが、症状の大部分が貧血の影響だったことは治療を終えてから強く実感しています。
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なお子宮筋腫の治療もすませ、月経痛も出血もとても軽くなりました。今では貧血も子宮筋腫もほとんど問題ありません。まったくあの当時の苦行はなんだったのかと思うくらいです。
クリニックに受診する鉄欠乏性貧血の患者さんの多くは、健康診断で貧血を指摘されて受診します。しかし、なかには数年前から指摘されていたのに自覚症状がなかったから放置していた、という方もたくさんいます。自分の経験をもとに考えてみると、私の場合は急に出血が増えたので自覚症状がはっきり出ていますが、慢性的に進行する鉄欠乏性貧血は、身体が順応してしまって自覚しにくいかもしれません。
また自覚症状があっても、私がそうであったように、それを貧血の症状と思っていないこともありえます。そんな患者さんでも、鉄剤投与で貧血が改善すると「身体がラクになった。実は今までしんどかったんだということが分かった」と言う方がほとんどなのです。
それに、自覚症状がないからといって、身体に対して負担がかかっていないというわけではありません。赤血球は身体全体に酸素を運ぶ役割を果たしているので、貧血のときには体中が酸欠となってしまい、ジワジワと身体を苦しめています。
身体からSOSサインは出ているはずなのですが「軽い貧血だから」「貧血くらいで病院に行けない」と無視している方が少なくありません。あぁ自分で書いていて胸が痛みます。
たかが貧血、されど貧血。ということを、身をもって体験した一例についてのお話でした。貧血、あなどるべからず。