合原一幸東京大学 生産技術研究所 教授
3月11日(土)22:30~ テレビ東京系クロスロード
合原一幸さんがクロスロードに出演します。
「数学を社会の役に立てたい!」そんな思いを抱き研究に勤しむ世界的数理工学者、合原一幸(62歳)さん。
内閣府が支援する最先端研究者30人にも選ばれた“日本の頭脳”の1人。
脳、人工知能、自然災害、医療、経済など社会の様々な問題が研究対象で、数学を駆使して様々な問題を解決している。合原は2012年に「病気になる前に病気の予兆を見つける手法」を数学的に開発。
これは漢方の世界では「未病」で知られる考え方で、漢方研究の最先端をいく富山大学で実証実験中だ。さらに前立腺がんの治療においても画期的な数式を生み出していた。
数学で明るい未来を切りひらく、番組では合原一幸に密着、プロフィールや研究テーマも紹介します。
合原一幸のプロフィール
1982年3月東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1982年4月日本学術振興会奨励研究員
1983年4月東京電機大学工学部助手
1986年 10月東京電機大学工学部専任講師
1988年10月東京電機大学工学部助教授
1993年4月東京大学大学院工学系研究科助教授
1998年4月東京大学大学院工学系研究科教授
1999年4月東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、東京大学工学部教授(兼担)
2003年4月東京大学大学院情報理工学系研究科教授(兼任)
2003年10月東京大学生産技術研究所教授に配置換え、現在に至る.
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合原一幸教授はカオス理論の本を出されています。
人類は自然現象をひも解くために様々な物理法則を導き出してきました。一般的に、それらの物理法則を用いると自然現象は予測できるというのが従来の科学の考え方である。
しかし、我々は非常に複雑な世界に生きているため、未来を正確に予測できないということが起こってしまう。
この複雑な一見法則のない現象を扱うのがカオス理論です。
初期値鋭敏性・・・初期値に少し変化をもたせると結果が大きく異る
カオスは、初期値を少し変えただけで全く異なる結果を生み出すという性質(初期値鋭敏性)を持っている。ある自然現象の物理法則を完全に再現したコンピュータがあったとすると、このコンピュータで計算した未来の予測は100%当たるはず。
しかし、どんなに完全に物理現象を再現したコンピュータでも必ず初期値を入力する必要があり、その初期値が微妙に違うと全く違った結果が出てしまうのです。
初期値を完璧に測れば済むことだが、それは不可能です。
言い換えると、たとえ物理現象を完全に解明したとしても、初期値を完全に観測できないので、決して完璧な未来を予測できないのである。現在これだけ科学技術が発達しているにも関わらず、天気予報がなかなか当たらないのはこの理由から分かります。
実際に、初期条件のほんの小さなずれが思いもよらない重大な事故を招いた例がある。1940 年に米国ワシントン州のタコマ橋が完成後4 ヶ月で、たかが風速19 m/s の横風のために崩壊してしまったのです。
もちろん設計時において考慮されるべき荷重や風に対して十分に配慮されており、特に風速60 m/s まで耐えきれる設計であった。つまり、この事故の原因は、風と橋の共振であり、わずかな風の流れが橋のねじれ振動をさらに大きくして橋の崩壊にまで至らせたというのです。
研究テーマは
脳,カオス,複雑系、ゲノムなどに関連した数理的基礎問題を研究している. 具体的な研究テーマとしては,
1. 複雑現象の数理解析
複雑系数理モデル学,カオス工学,複雑系ビッグデータ解析(経済データ,地震データ,感染症伝播データ,風況・日射量データなど),カオス計算論など
2. 脳情報システム理論
人工知能の数理,神経回路網の数理,脳・神経時空間データの非線形解析,脳の学習・自己組織化理論,量子ニューラルネットワーク論など
3. 疾病の数理モデルと治療への応用
ガンや HIV などの難病の数理モデル構築とその数理モデルに基づくテーラーメードな最適化治療手法や分岐理論解析に基づく動的ネットワークバイオマーカー(DNB)を用いた複雑疾病の未病(疾病前)状態の超早期診断手法など
4. 複雑ネットワークの工学・産業応用
社会インフラシステム,スマートグリッド,コミュニケーションネットワーク,交通流などの工学分野の複雑ネットワークの数理モデル化とその工学・産業応用など
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