大統領選挙に“異変”あり ~アメリカ社会に渦巻く不満~
【今日のあらすじ】
4年に1度、アメリカのリーダーを決める大統領選。異例の混戦となっている最大の要因は、共和党で支持率トップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏の存 在だ。政治経験は全くなく、
オバマ政権を「弱腰」と真っ向から批判、「偉大なアメリカの復活」を掲げる。難民やイスラム教徒に対して差別的な発言を繰り返 しているが、白人の保守層で特に所得が低い労働者層からの支持が根強い。
共和党主流派はトランプ氏に対抗する候補者の一本化に苦労し、トランプ氏の勢いを 止めることが出来ずにいる。
一方民主党も、支持率トップを走るクリントン氏を、2位のバーニー・サンダース氏が猛追。最低賃金の引き上げや格差解消など “社会主義的”な政策を訴え、こちらも比較的所得が低い若者層からの支持を獲得している。
“エスタブリッシュメント”と呼ばれる既成政治への批判が高まる 中、アメリカ国民は最終的にどのような選択をするのか。最大の山場・スーパーチューズデーを前に加熱する選挙戦を追い、アメリカ社会の底流で起きている変 化を読み解く。
【異変の原因は】
民主党 サンダース氏と
共和党ドナルドトランプ氏の存在です。とかく過激な発言が取り上げられるのですが、実のところどういう考えなのか。トランプ氏の政策を具体的には以下のようです。
米中貿易の改革
中国の人民元切り下げを止めさせ、環境基準や労働基準を改善させます。また知的財産保護やハッキングに対して厳しく対処します。「中国はアメリカの雇用とカネをかすめ取っている」と言ってはばかりません。
・退役軍人省の改革
退役軍人省の首脳部を総入れ替えし、退役軍人の医療制度を変革します。
具体的には、退役軍人の病院での待ち時間を減らせるように仕組みを変え、
増加す る女性退役軍人の医療充実のため、女性医療を専門とする医師の数も増やす考え。またオバマケアは大失敗だとし、自由市場原理で動く医療保険計画を提案 しています。
・税制の改革
年収2万5000ドル(約300万円)未満の人の所得税を免除します。
法人税率を15%引き下げ、多国籍企業が海外に滞留した所得は税率10%で国内 に還流させることができるようにすること。
最低賃金の引き上げには反対し、労働コストの低い海外に移転した製造業の雇用を米国に戻すべきだとしています。
・武器の所有権利
銃規制強化に反対し、銃購入時の身元調査の範囲拡大にも反対しています。また銃乱射事件を減らすために精神医療に投資すべきだとしています。
・移民の改革
オバマ政権が大統領令で導入した移民制度改革を撤廃し、数百万人に上る不法移民を強制送還。ムスリム系米国人のデータベースを強化し、モスクを監視すべき。
米国とメキシコの間に「大きな壁」を建てる(トランプ氏は以前からメキシコ人を強姦犯などと罵倒している)。
また、女性や弱者への蔑視発言も多く(先日は身体に障害を持つニューヨーク・タイムズ紙の記者を馬鹿にし騒ぎとなった)、ISに対しては水責めなどもっと厳しく尋問し、空爆ももっと徹底的に爆撃すべきなどと発言しています。
一方、米国は国際紛争への介入を大幅に削減すべきだと主張しています。
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【民主党候補】
●ヒラリー・クリントン前国務長官
オバマ政権で2009年から13年まで国務長官をつとめました。それ以前はニューヨーク州選出の上院議員で2度当選。
夫は元大統領のビル・クリントン。ヒラリー氏は今回で大統領選出馬は2回目。前回2008年は民主党予備選で、オバマ氏に惜敗。内政面ではオバマ氏を継承も外交面では、オバマ氏より強硬姿勢を見せます。
●バーニー・サンダース上院議員(無所属)
バーモント州選出の無所属議員
民主党の指名獲得を目指しています。上院では最もリベラルの議員の一人ハーバード大学で教鞭をとった経験もあります。大統領に選出されれば米国人初のユダヤ人大統領
【共和党】
●ドナルド・トランプ
不動産王。メディアの活用にたけている。過去5回の大統領選でも出馬をほのめかしていた。
●ベン・カーソン
元神経外科医
●ジョン・ケーシック
オハイオ州知事。下院議員歴も20年近くある。
●テッド・クルーズ上院議員
2012年テキサス州選出の上院議員
●マルコ・ルビオ
2010年のフロリダ上院選で、茶会系の支持を得て当選。
共和党のまとめ役として期待されていたが、少しうまくいっていません。
まとめ
民主党は接戦
共和党はトランプ氏がリード
スーパーチューズデーまで目が離せないですね。
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