2014年6月イタリアのリミニで行われたWBCの決勝戦。井崎さんは大きく「ふう」と息を吐き、4人の審査員が座る競技テーブルの前に立った
。わずか15分の競技時間に集中し、持てる限りの技術と気持ちを注ぎ込む。その間、井崎さんの手と口は絶え間なく動く。
エスプレッソやカプチーノなど12杯を作りながら、豆の生産地から特徴に至るまで英語で審査員に詳しく説明する。
バリスタの世界大会でアジア人初のチャンピオンになった、井崎英典さん。
バリスタとは「約100年前にイタリアで生まれた言葉。町の大衆食堂のような“バール”で働く人(イスタ)という意味。そこから本来の意味は「サービスマン」。
日本では「コーヒーのプロ」の意味合いが強いが、コーヒーの可能性・魅力を伝え、世間に浸透させていく行動全てがバリスタの仕事」と井崎さんは語る。
実家のコーヒーの店で働き始めた頃、お客さんの「ありがとう」の言葉からコーヒーが楽しくなった。
そのうち、ある理由から世界チャンピオンを目指すことになる。
今、世界チャンピオンだからこそ、広くコーヒーを普及させるために活動されている、そんな現在の井崎さんを作り上げている過去とは…?
落ちこぼれで高校中退、引きこもりがちになってしまったのだ。今の姿からは想像すらできない。
